Logan Webb
「ローガン・ウェッブ――ジャイアンツが唯一手放さなかった『プロスペクト番号』を背負い続ける男」
エースの地位を確立した後も、ジャイアンツ入団当初に割り振られた『新人・非正式ロースター選手向け』の背番号62を、そのまま使い続けている。
近年のMLBでは先発投手の球数・イニング数管理が年々厳格化するなか、ウェッブは数少ない『長いイニングを投げ切れる先発』として重宝されており、投手起用のあり方そのものを考えさせる存在になっている。
派手な奪三振ショーではなく、打たせて取る投球スタイルであるため、アメリカ国内でも過小評価されがちな投手だが、そのスタイルこそが現代野球で最も再現困難な技術のひとつであることは見落とされやすい。
ウェッブは球団の顔と呼べる存在になった後も、入団時に割り当てられた二桁の『新人番号』62を変えていない。日本のプロ野球であれば、エース格の投手は一桁や象徴的な番号への『格上げ』を期待されがちだが、アメリカの選手文化では、番号へのこだわりのなさ自体が『実力で語る』という価値観の表れとして受け取られることがある。
日本のプロ野球(NPB)では、先発投手のイニング数や登板間隔は米国よりもかなり保守的に管理される。中6日での完投志向や、シーズン中の意図的な休養がその一例で、ウェッブのようにシーズンを通して高いイニング数を積み重ねるスタイルは、アメリカでは『粘り強さ』として称賛される一方、日本の野球関係者からは故障リスクへの懸念とともに語られることが多い。
1996年、カリフォルニア州ロックリン生まれ。2019年にサンフランシスコ・ジャイアンツでメジャーデビューして以来、一貫して同球団に所属し続けている右投げ右打ちの先発投手。シンカーとチェンジアップを軸にした投球で、派手さより効率を追求するタイプとして知られる。
| 年度 | チーム | 登板 | 勝敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026 | SFG | 16 | 5勝7敗 | 3.86 | 100.1 | 80 | 1.16 |
| 2025 | SFG | 34 | 15勝11敗 | 3.22 | 207.0 | 224 | 1.24 |
| 2024 | SFG | 33 | 13勝10敗 | 3.47 | 204.2 | 172 | 1.23 |
| 通算 | — | 196 | 75勝60敗 | 3.42 | 1162.2 | 1074 | 1.19 |
出典:MLB Stats API(レギュラーシーズン)
背番号62が語ること
ローガン・ウェッブの胸には、いまも「62」という数字がある。メジャーリーグでは、若手や非正式なロースター選手に高い番号が割り振られる慣習があり、選手が主力に定着すると、より低い、あるいは象徴的な番号へ変更することも珍しくない。ウェッブはその機会を選ばず、デビュー当時の番号をそのまま背負い続けている。これは公式に本人が理由を語った記録があるわけではないが、アメリカの野球文化において、番号への無頓着さがしばしば『実績で語らせる』という美学と結びつけて語られる、ひとつの具体的な事実である。
サクラメント郊外という出発点
ウェッブは1996年11月18日、カリフォルニア州ロックリン——州都サクラメントの北東に広がる郊外の街——に生まれた。身長188センチ、体重100キロという体格を持つ右投げ右打ちの投手で、2019年8月17日にサンフランシスコ・ジャイアンツでメジャーデビューを果たして以来、他球団への移籍歴を持たない。ドラフトで指名されてからメジャー定着までを一貫して同一組織の中で歩んできたという経歴は、頻繁にトレードが行われる現代のメジャーリーグにおいて、決して当たり前のことではない。
アメリカ野球では、シーズンを通して安定して長いイニングを投げ切れる先発投手を『イニングイーター(inning eater)』と呼び、単なる脇役ではなく、リリーフ陣の消耗を防ぐ縁の下の力持ちとして高く評価する文化がある。日本の『エース=完投・完封を狙う投手』という感覚とは少し異なり、アメリカでは『試合を作り、ブルペンを守る』という機能的な価値そのものが称賛の対象になる。
『打たせて取る』という技術
ウェッブの投球を特徴づけるのは、奪三振の派手さではなく、シンカーとチェンジアップを軸にしたゴロアウトの多さである。近年、先発投手には球数制限や早期の継投がスタンダードになりつつあるなかで、彼は長いイニングを一人で任せられる数少ない投手として、リーグ内でも独特の立ち位置を築いてきた。オールスターにも選出される実績を積みながら、それでも『打たせて取る』という地味に見える技術こそが評価の核心にある投手であり、その静かな職人気質は、派手な結果だけを追うファンには見えにくい部分でもある。
日本球界では、背番号がしばしば選手の格や役割の象徴として語られ、エース番号や永久欠番といった文化が根強い。一方でメジャーリーグでは、番号は組織の慣習上の割り当てに過ぎないと捉える選手も多く、ウェッブのように無頓着なままエースとなる例は、日本の観客にとって興味深い対比になる。
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